遺伝子DNA。
生物学が好きでない人でも、一度は聞いたことがあるでしょう。
この言葉から、どのようなことを想像されるでしょうか。
遺伝子が私たちの人生を決定している。
そのような考え方が、多かれ少なかれあります。
がんになるのは、がん遺伝子があるから。
太っているのは、太りやすい遺伝子があるから。
頭が良いのは、悪いのは、両親の遺伝子によって決まる。
逆にこの遺伝子を詳しく知ることで、
全てを予測し、全てをコントロール出来るようになる。
それゆえゲノムプロジェクトは、鳴り物入りで登場しました。
そこにあるのは、きわめて機械的な世界観。
人というオートマトン、「自動人形」がいて、
遺伝子DNAというプログラムを実行している。
反応はあるけれど、いのちのぬけた世界。
ところが、このゲノムプロジェクトは、
予想を覆すような結果を表したのです。
予想とはこうでした。
原始的な生物は、細胞の数も少ないので、
それに必要な遺伝情報は少なくていいだろう。
一方人間は、
細胞の数も多く、複雑で、
しかも思考能力という特殊性をもっている。
遺伝情報は、それに比例して多いはずである。
結果は、いかに?
Blog 「
医学と病気・医療と健康」にあるように、
原始的生物である回虫は細胞の数が969個。
遺伝子は1万8千ありました。
それよりも高等なハエは、
おや、遺伝子の数は1万3千です。
回虫よりも少ないのです。
そして、細胞数60兆を誇る人間様は、
あれれ、たったの3万4千...。
いや、ここはむしろ開き直って、
「ほ〜ら、やっぱり! 回虫の2倍も多いでしょ!」というべきか...。
回虫は1万8千の遺伝情報を使って、
969個の細胞を作っているのです。
人間の細胞は60兆個もあるのに、
それを作っている遺伝情報は、3万4千。
回虫より1万6千多いだけ。
謎...。
さて、今日はすこしがんばって、
新しい言葉を覚えてみましょう。
"Epigenetics" エピジェネティクス。
epiとは〜の上に、という意味があります。
geneticsとは遺伝情報。
すなわち、epigeneticsとは、
遺伝情報の上に存在して影響を与えているもの、
という意味になります。
遺伝情報で全てが決まるわけではなくて、
その上がまだあったのです。
epigeneticsこそが大きな役割を担っている、
そのような考えが出てきています。
さて、そのepigeneticsの中身はなんでしょうか。
具体的に、一体何が、
私たちにとってそれほど大きな影響を持っているのでしょうか。
私は、それは「意識」だと思います。
「意識」というと、
すぐに「前向き」は良いとか、「後向きは」良くないとか、
「考え方一つで、何とでもなる」とか
そちらの方を考えてしまいますが、
そんな表層的なものではなくて、
もっと根源に存在するところの「意識」です。
結局、私たちが生きていく上で、
もっとも決定的なのは、
遺伝でも、狭い意味での環境でもなく、
私たちの意識の在り方、なのです。
もし、決定的な要素が私の外側にあるならば、
たちまちのうちに私たちは、運命の「犠牲者」になるでしょう。
私たちは、遺伝と環境によってプログラムされた、
オートマトンです。
私たちの日々の生活は、
この外側の世界をどのようにコントロールするかに、
ほとんど費やされています。
あるいは、その圧倒的に「見える」力の前で、
ただ、ただ、脱力しているかもしれません。
いずれも、
外にあるものこそが決定的なものだと、
信じきっているからです。
しかし、そうではありません。
決定的な要素は私たちの内側に存在しており、
いまここで手にとることができるのです。
私の中に、いったいなにがあるというのか。
そのように思われるかも知れません。
もっと中なのです。
「中」を見ていると思っていますが、
私たちが実際見ているのは「外」です。
あなたは、もっと深い存在なのです。
あなたという言葉も、もはや残れないくらいに。
その「中」に近づくことが出来るとき、
ようやく私たちは、
遺伝と環境の呪縛から、
犠牲者の元型から、
機械仕掛けの人生から、
抜け出ることが出来るのです。
いまここに戻ってくることが、
出来るのです。